タイに行くまでは、「昆虫を食べるなんて無理かも…」と思っていました。
でも実際にタイを旅してみると、屋台や市場であたりまえのように売られている昆虫料理を目の当たりにして、思わず興味が湧いてきました。
今回は、私が実際に食べてみたタイの昆虫料理と、地元の人に教えてもらったおすすめの食べ方をご紹介します。
初めて昆虫食に挑戦する方の参考になれば嬉しいです。
小エビみたいな「メガチョーン」
まずご紹介するのは「メガチョーン」と呼ばれる昆虫です。
これは見た目が小さくて、揚げるとまるで小エビの唐揚げのようになります。
私はタイ東北部のイサーン地方で出会いました。
スパイスと一緒に炒められていて、香ばしい香りが広がります。
食べてみると、味はエビとナッツの中間のような感じ。
カリッとした食感で、思ったよりクセがなくて驚きました。
地元の人たちはお菓子のようにポリポリ食べていて、おつまみにもぴったりです。
高級食材「カイプン(ハチの幼虫)」
一番インパクトがあったのは、市場で見かけた「カイプン」というハチの幼虫です。
なんと、巣のままドンと売られていて、初めて見たときは圧倒されました。
聞いたところによると、新鮮なものは生でも食べられるそうですが、私は焼かれたものを選びました。
口に入れると、濃厚な味わいとほんのりとしたミルクのようなコクが広がって、まるで白子やアン肝のような感覚。
意外にもクセがなくて食べやすかったです。
さらに、バナナの葉に包んで焼くスタイルもあり、香ばしさが増してとても美味しかったです。
手のひらサイズの巣で、日本円にして500〜600円くらい。
少し高いですが、栄養価も高く、タイでは子どものおやつ代わりに与える家庭もあるそうです。
自然の恵みを大切にするタイの文化を感じました。
初めての昆虫食は「チンリッド(コオロギ)」
私が初めて食べた昆虫料理は「チンリッド」、つまりコオロギでした。
屋台で揚げたコオロギを見つけて、「せっかくだから一匹だけ…」と勇気を出して買ってみました。
塩とガーリックで味付けされていて、見た目のハードルを超えればとても香ばしくてサクサクの食感。
味はナッツに近く、びっくりするほど食べやすかったです。
気がつけばもう一袋買っていました。
最近では、このコオロギを粉末にした「コオロギパウダー」が使われたプロテインバーやスナックも販売されていて、健康志向の若者に人気があるそうです。
栄養価も高く、地球環境にもやさしい未来の食材として注目されています。
パリッと食感がクセになる「タカテーン(バッタ)」
次に挑戦したのは「タカテーン」、つまりバッタです。
コオロギより少し大きめで、屋台では頭や足、羽を取り除いてから揚げられています。
味付けは塩とガーリック。
食感はパリパリで香ばしく、コオロギよりも軽い感じがしました。
見た目はちょっと勇気がいりますが、食べてみるとクセはほとんどなく、またまたビールが進みました。
屋台のおじさんが「バッタはカルシウムが豊富なんだよ」と教えてくれました。
確かに、甲殻がしっかりしていて、栄養が詰まっている感じがしました。
赤アリの卵「カイ・モッ・デーン」はごちそう
最後に紹介したいのが、私のお気に入り「カイ・モッ・デーン」、つまり赤アリの卵です。
最初は「えっ、アリの卵?!」とびっくりしましたが、これが本当に美味しいんです。
赤アリは体長が1cmほどもあり、日本のアリとは比べものにならない大きさ。
その卵は、2月から5月ごろの短い期間しか採れない希少な食材です。
私は市場で卵を買って、卵焼きに混ぜて調理してみました。
オイスターソースとナンプラーで味付けし、最後に赤アリの卵をサッと混ぜて火を通すだけ。
食べてみると、プチプチとした食感のあとに、トロッとした濃厚な味が広がります。
微かな甘みと、ほのかな苦みと酸味もあって、まるで白子を食べているような贅沢な味わいでした。
とても美味しくて、また食べたいと思いました。
市場ではすぐに売り切れてしまうそうで、地元の人は予約して買うことも多いそうです。
メンダー(タガメ)だけはどうしても無理でした…
まず最初に出会ったのが、「メンダー」と呼ばれるタガメです。
体長5〜7センチもある大きな虫で、見た瞬間「これは絶対ムリ…!」と後ずさりしてしまいました。
屋台のおばちゃんに「食べてみる?」と声をかけられましたが、笑ってごまかすのがやっと。
地元の人に聞いてみたところ、「羽と頭を取って、お腹の部分をチューチュー吸うんだよ」とのこと。
そんな食べ方あるんだ…とびっくり。
しかも、フルーツみたいな香りがするとかで、実際に嗅がせてもらったら確かに爽やかでびっくりしました。
タイでは「ナムプリック・メンダー」という、タガメを使ったディップソースまであるそうです。
でも、どうしても姿がリアルすぎて、食べる勇気は最後まで出ませんでした。
ロッドゥアン(竹虫の幼虫)に衝撃を受けた!
私の中の昆虫食のイメージをガラッと変えたのが、「ロッドゥアン」でした。
これは日本語でいうと「竹虫」の幼虫で、竹の中で育つそうです。
屋台でも市場でもよく見かけますが、初めて見たときは「これは完全にイモムシだよな…」とちょっと引き気味。
でも、ある日、タイ人の知人の家にお呼ばれしたとき、「おやつにどうぞ」と出されたのが、カリッと揚がった黄金色のロッドゥアンでした。
さすがに断れなくて、勇気を出してひと口食べてみました。
そしたら、衝撃のうまさ!
サクサクしていて香ばしく、まるでナッツのような味わい。
ほんのり塩気もあって、スナック感覚でどんどん食べられるんです。
「虫を食べてる」っていう感覚より、「おいしいスナックだな」っていう気持ちが先に来ました。
現地の友人たちも「ロッドゥアンは別格だよ」と口をそろえて言います。
タイ人の中でも「普段は虫を食べないけど、これだけは好き」という人が多いらしく、確かに納得です。
思わぬ「虫のお土産」にびっくり!
その後、タイでお世話になった知人から「これ、日本の友達にも喜ばれるよ」と紙袋を渡されました。
「ノーマイ(タケノコ)」という単語しか聞き取れなかった私は、「タケノコの加工品かな?」とそのまま受け取りました。
でも、家に帰って開けてみると…中には瓶詰のロッドゥアンがぎっしり!
思わず「うわっ!」と声が出ました(笑)。
虫が苦手な人が見たら間違いなく驚くと思います。
ただ、これはタイでは高級食材で、瓶詰ひとつが2,000円以上することもあるんだとか。
お土産にするときは、相手をよく選ぶべきですね。
トワマイ(蚕のさなぎ)は意外なおいしさ!
次に挑戦したのは、「トワマイ」と呼ばれる蚕のさなぎ。
正直、見た目はちょっとグロテスクです。
でも、屋台で揚げたてを食べてみたら、これが意外においしい!
クリーミーでナッツのようなコクがあり、塩とガーリックで味付けされていて、どことなくフライドポテトにも似た味わい。
軽いスナック感覚で食べられます。
特にタイの東北部ではよく食べられていて、地元のおばあちゃんに「栄養があるから元気になるよ」とすすめられました。
たしかに、蚕はたんぱく質が豊富で、健康にも良いそうです。
メンイーヌーン(フンコロガシ)は無理でした…
一方で、どうしても食べられなかったのが「メンイーヌーン」。
つまり、フンコロガシです。
見た目も強烈ですが、「糞を転がす虫だよ」と言われた瞬間、完全にギブアップ。
スープにして食べる地域もあると聞きましたが、地元の人にも「これは無理しなくていいよ」と言われたので、遠慮させてもらいました(笑)。
昆虫スナックは手軽なお土産にも!
もっと気軽に昆虫食を体験したいなら、「昆虫スナック」がおすすめです。
最近ではタイのコンビニ(セブンイレブンなど)でも販売されていて、ポテチの隣に普通に並んでいます。
袋に入った素揚げの昆虫が、20バーツ(日本円で約70円)くらいで買えるんです。
私もいくつか買って日本へのお土産にしてみました。
もちろん、あげる相手は慎重に選びました(笑)。
一番好評だったのはイモムシのスナック。
見た目はインパクトがありますが、香ばしくてクセがなく、食べやすかったそうです。
オケラも意外とおいしかったという声がありました。
ただ、コオロギはちょっと独特な匂いがあって苦手という人も。
蚕のさなぎは、噛んだときに中からブチュッとした食感が出て苦手…という声もありました。
昆虫食の未来は明るい?
正直に言うと、私は昆虫の姿がそのまま見えていると、なかなか箸が伸びません。
でも、味自体は悪くないんです。
もし粉末になっていて、料理に混ぜられていたら、気づかずに普通に食べてしまうかもしれません。
実際、コオロギを粉末にしてパンやクッキーに混ぜた商品も、日本でも増えてきています。
私の友人のひとりは、コオロギの素揚げが大好きで、もち米と一緒にいつも持ち歩いているくらい。
ある日、空港のベンチで彼が普通に「コオロギごはん」を食べているのを見て、思わず二度見してしまいました(笑)。
ちょっとホラー映画みたいな光景でしたが、彼にとっては「普通の昼ごはん」だったようです。
昆虫は地球を救う?持続可能なタンパク源
牛や豚のような家畜に比べて、昆虫は少ないエサと水で育ちます。
地球への環境負荷も軽く、気候変動や食糧危機の対策としても注目されています。
世界的にも、昆虫は「未来のタンパク源」として研究されているんです。
特にコオロギやミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)は、欧米でもすでに食材として商品化されています。
タイのような昆虫食文化がある国は、むしろ最先端なのかもしれません。
昆虫食を通じて感じたこと
正直、タイに来る前は「昆虫なんて絶対に無理」と思っていました。
でも、実際に食べてみると、どれも香ばしくて美味しく、クセがないものばかりでした。
特にコオロギや赤アリの卵は、栄養も豊富で環境にも優しい「未来の食材」として注目されています。
タイの人たちは、自然の恵みに感謝しながら、それを無駄にせず食に取り入れていて、本当に素晴らしいと感じました。
もしタイを訪れる機会があれば、ぜひ一度昆虫料理に挑戦してみてください。
見た目のハードルを越えれば、新しい美味しさと出会えるかもしれません。