バンコクにある「バンコク国立博物館」は、私がタイで訪れた中でも特に心に残っている場所のひとつです。
歴史好きな方や、タイの文化に触れてみたい方にとっては、まさに宝箱のような場所。
今回は、私自身の体験を交えながら、この博物館の魅力やアクセス方法を分かりやすくご紹介します。
王宮のすぐそばにある歴史の宝庫
バンコク国立博物館は、バンコク旧市街の中心部、王宮(グランドパレス)やワット・プラケオのすぐ近くにあります。
立地としては観光スポットが集まるエリアなので、観光の途中で立ち寄るのにもぴったり。
私が初めてこの博物館を訪れたのは、タイに移住して間もない頃でした。
タイの歴史や文化をもっと深く知りたいと思い、ガイドブックで紹介されていたこの博物館に行ってみることにしたのです。
歴史ある博物館のはじまり
バンコク国立博物館は、1874年にラーマ5世(チュラーロンコーン大王)によって設立されました。
もともとは、王族のコレクションを展示するための場所だったそうです。
それが今では、タイ国内最大級の博物館として一般公開され、タイの歴史や文化に触れられる貴重な施設になっています。
展示の内容は、先史時代から現代にいたるまで幅広く、タイ各地の仏像、絵画、武具、衣装など、ジャンルも多彩です。
初めて訪れたときの感動
館内に足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした空気とともに、静かな雰囲気に包まれました。
まるで時間がゆっくり流れているような感覚。
建物の造りも、古くて立派なタイ様式で、見ているだけで心が落ち着きます。
展示室のひとつひとつをじっくり見て回りながら、「ああ、タイにはこんなにも豊かな歴史と文化があるんだな」と実感しました。
中でも印象的だったのは、仏像コレクションのエリア。
時代や地域によって仏像の表情やデザインが異なっていて、見応えがありました。
バンコク国立博物館の基本情報
以下、訪れる際に役立つ基本情報もまとめておきます。
- 名称:バンコク国立博物館(Bangkok National Museum)
- タイ語名:พิพิธภัณฑสถานแห่งชาติ พระนคร
- 住所:Na Phra That Road, Phra Borom Maha Ratchawang, Phra Nakhon, Bangkok 10200
- 開館時間:水曜~日曜 9:00〜16:00(最終入館 15:30)
- 休館日:月曜・火曜・タイの祝日
- 入場料:外国人 200バーツ、タイ人 30バーツ
※祝日などで臨時休館することもあるので、訪問前には公式サイトやGoogleマップで営業情報を確認するのがおすすめです。
バンコク国立博物館へのおすすめの行き方
バンコクはとにかく交通渋滞が多い街です。
なので、車だけで行こうとすると、思ったより時間がかかってしまうことがあります。
そんな中、私が実際に使って快適だったのが、「BTS(スカイトレイン)+ボート」の組み合わせです。
このルートなら渋滞の影響を受けにくく、しかもチャオプラヤー川の風景まで楽しめるという、一石二鳥のルートなんです。
ステップ①:BTSでサパーンタクシン駅へ
まずは、BTSシーロム線に乗って「サパーンタクシン駅(Saphan Taksin)」まで向かいます。
例えばサイアム駅からなら乗車時間は約10分ほど。
運賃は距離によって異なりますが、16〜44バーツ(約65〜180円)くらいです。
このBTSはとても清潔で冷房も効いていて、快適に移動できます。
ステップ②:サトーン船着場からボートに乗船
サパーンタクシン駅で降りたら、すぐ隣にある「サトーン船着場(Sathorn Pier)」へ向かいます。
ここから、オレンジ色の旗が目印の「チャオプラヤー・エクスプレスボート」に乗船します。
運賃はわずか15バーツ(約60円)で、乗船時間は約20分。
水上を走るボートに乗っていると、川風が気持ちよくて、バンコクの街並みも新鮮に見えてきます。
船旅がこんなに心地よいなんて、正直驚きました。
ステップ③:ターチャン船着場から徒歩で博物館へ
ボートが到着するのは「ターチャン船着場(Tha Chang Pier)」です。
ここから博物館までは徒歩で約10分。
道中にはローカルなお土産屋さんやタイらしい屋台も並んでいて、ついつい寄り道したくなるような楽しい雰囲気です。
私はココナッツアイスを買って食べながら歩きましたが、それもいい思い出になりました。
所要時間と費用の目安
この「BTS+ボート」ルートの所要時間は、だいたい40〜50分。
かかる費用は合計で31〜59バーツ(約130〜240円)ほどと、非常にリーズナブルです。
観光客にもわかりやすく、ローカルな雰囲気も楽しめるこのルートは、本当におすすめです。
その他の行き方
もちろん、タクシーやGrab(配車アプリ)を使って行く方法もあります。
荷物が多いときや、家族連れ、高齢の方が一緒の場合には、車の方が便利かもしれません。
ただし、渋滞には注意が必要です。
特に朝夕のラッシュ時や雨の日は、通常の倍以上時間がかかることもあるので、時間には余裕を持って行動しましょう。
バンコク国立博物館の建物構成
歴史と芸術が共存する「中央宮殿」
まず最初に訪れたのは「中央宮殿(Siwamokkhaphiman Hall)」というエリアです。
ここは18世紀末、ラマ1世の王子が実際に住んでいたという由緒ある建物です。
入り口の門をくぐって中に入った瞬間、私はその鮮やかな屋根や金色の装飾に目を奪われました。
本当に豪華で、細部までこだわって作られているのが一目でわかります。
内部には、王室が実際に使っていた宝飾品や衣装、楽器などがガラスケースにずらりと並んでいます。
私は特に、王冠と玉座に目が釘付けになりました。
どちらも信じられないほど繊細な細工が施されていて、「これが手作業で作られたなんて…」と驚きと感動が同時に押し寄せました。
また、外観の赤と金のコントラストが本当に美しくて、青空に映えるその姿を何枚も写真に収めてしまいました。
平日の午前中に訪れたこともあり、館内は比較的空いていて、ゆっくりと鑑賞できたのも嬉しかったです。
王家の葬儀に触れる「葬儀用展示室」
次に向かったのは、少し重たいテーマを扱っている「王家の葬儀展示室」です。
正直なところ、最初はあまり気が進まなかったのですが、実際に展示を見てみると、その荘厳な雰囲気と歴史の重みに圧倒されました。
特に印象に残ったのが、巨大な王室用の葬送車「プラ・ラチャ・カーン」です。
10メートルを超えるその車両は、金箔と装飾がびっしり施されていて、まさに芸術の域に達しています。
この葬送車は、王室の火葬式で実際に使用されるもので、制作には何ヶ月もかかるそうです。
タイでは王の葬儀は国家をあげた大行事で、2017年にラマ9世が崩御した際には、何百万人もの人々が喪に服し、式典に参列しました。
この事実を知ったうえで展示を見ると、ただの歴史資料ではなく、国民の想いが詰まった「生きた記録」だと感じられました。
王族の暮らしが見える「赤い館」
博物館内を歩いていて、パッと目を引いたのが「赤い館(The Red House)」です。
名前の通り、鮮やかな赤い建物がとても印象的で、カメラを向けたくなるスポットです。
ここは、ラマ1世の妹が実際に暮らしていた木造住宅で、王室の私生活を感じることができる場所です。
内部には、昔のベッドや家具、食器、さらには化粧道具まで展示されています。
私が特に興味深かったのは、キッチンの展示。
炊飯器や茶器など、まるで日本の昔の生活道具を見ているような親しみがあり、不思議な懐かしさを感じました。
また、この赤い館はタイ南部で見られる「高床式住居」の建築様式を取り入れているそうで、湿気や洪水を避ける工夫がなされています。
タイの気候と生活の知恵が融合した、素晴らしい伝統建築だと思いました。
心が洗われる「ブッダイサワン礼拝堂」
個人的に最も心に残ったのが、「ブッダイサワン礼拝堂(Phutthaisawan Chapel)」です。
ここはラマ1世が建立した仏教礼拝堂で、タイ仏教美術の最高峰とも言われる神聖な空間です。
内部には「プラ・プッタ・シヒン」という非常に有名な仏像が安置されています。
その穏やかな表情を見た瞬間、なぜか涙が出そうになりました。
私は何も考えず、しばらく仏像の前で座って心を落ち着けていました。
壁には仏教の教えや仏陀の生涯を描いた壁画がびっしりと描かれており、それがまた圧巻です。
ガイドブックに書かれていた通り、左から右へと順番に物語を追っていくと、まるで絵巻物のような世界に引き込まれます。
この礼拝堂は、宗教に詳しくない人でも心が癒やされるような、特別な空間だと思います。
タイの歩みを学べる「新歴史館」
「新歴史館(New History Building)」は、博物館内でも最新の施設で、タイの歴史を分かりやすく学べる場所です。
建物に入ると、広々とした空間に映像やインタラクティブな展示が並び、まるでタイの歴史を旅しているような感覚になります。
先史時代から現代にかけての歴史が時系列で紹介されており、私はアユタヤ王朝とラッタナーコーシン時代の展示に特に惹かれました。
アユタヤ時代の戦争の様子や貿易の発展が、実物の武器や船の模型と共に紹介されていて、「ああ、こうしてタイは形づくられてきたんだな」と実感しました。
また、ラマ5世(チュラーロンコーン大王)の改革も詳しく紹介されています。
彼の鉄道建設や西洋式教育の導入は、今のタイ社会の土台になっていることを学び、改めてその偉大さに感動しました。
北タイの文化に出会える「北側の展示室」
「北側の展示室」では、タイ北部の文化や民族の暮らしに触れることができます。
私は以前チェンマイを旅したことがあるので、非常に親しみを感じながら見学できました。
ランナー王朝時代の仏像や陶器、木彫りの祭壇など、どれも繊細で美しく、「これぞタイ北部の芸術だな」と感じました。
また、赤や金など鮮やかな色で織られた布地や民族衣装も展示されていて、職人の技と文化の奥深さに感動しました。
王族だけでなく、一般庶民の暮らし道具も展示されていて、生活のリアルさが伝わってきます。
多文化が息づく「南側の展示室」
「南側の展示室」では、タイ南部の文化や歴史が紹介されています。
私はここが一番印象に残りました。
南部はイスラム文化やマレー文化の影響が強く、他の地域とは違った雰囲気があり、とても興味深かったです。
幾何学模様が入った陶器や、海洋貿易で使われた道具、イスラム風の装飾品など、見たことのないものがたくさん並んでいました。
また、海洋民族の生活を再現した展示コーナーもあり、漁具や船の模型などを通じて、自然との共生の知恵に触れることができました。
昔の港町の資料なども充実していて、「タイって本当に多文化国家なんだな」と実感しました。
休憩スポットでひと息
館内を歩き回っていると、さすがに疲れてきますよね。
そんなときにありがたいのが、休憩所の存在です。
中庭にあるベンチエリアは特におすすめで、緑に囲まれた空間で風に吹かれながらのんびりと過ごせます。
私はここで撮った写真を見返したり、展示の感想をメモしたりしていました。
また、館内にはカフェもあって、私はフレッシュジュースとバナナケーキでしばしの休憩を楽しみました。
カフェの隣にはお土産ショップもあり、タイの伝統工芸品や博物館オリジナルグッズがたくさん揃っています。
旅の思い出にぴったりのアイテムがきっと見つかりますよ。
バンコク博物館でのおすすめの服装スタイル
私が訪れたのは11月、いわゆる乾季のバンコクでした。
日本では秋でも、バンコクは日中30度を軽く超える暑さ。
日差しも強くて、日焼け止めを塗っていてもヒリヒリしました。
しかも展示の一部は屋内に冷房が効いているんですが、館内から館外へ何度も移動するので、体温調整がけっこう大変なんです。
私のおすすめは、こんな服装です。
- 通気性のいいTシャツや薄手のブラウス
- 動きやすい長ズボンやロングスカート
- 履き慣れたスニーカーやスポーツサンダル
- 折りたためる帽子とサングラス
- 冷房対策に薄手のカーディガン
とくに女性は、ミニスカートやショートパンツ、ノースリーブは避けた方がいいです。
なぜかというと、バンコク国立博物館から近くにある「ワット・プラケオ」や「王宮」にも立ち寄る人が多いから。
これらの場所では、肌の露出が多い服装だと入場を断られる場合があります。
私の友人も、ノースリーブで王宮に入れず、入口でレンタルの羽織を借りていました。
最初から肌を隠す服装で行ったほうが、スムーズに観光できますよ。
水分補給は絶対に忘れずに!
そしてもうひとつ、私が体験から強くおすすめしたいのが「飲み物を持参すること」です。
博物館の敷地内には売店が少なく、自販機も見当たりませんでした。
私は一度、水を切らしてしまい、炎天下の中で本当に辛い思いをしました。
博物館の近くにはセブンイレブンなどのコンビニもありますが、できれば入場前に購入しておくと安心です。
水やスポーツドリンク、凍らせたペットボトルなどをバッグに入れておくと、熱中症対策にもなります。
ただし、入場口では荷物検査がある場合があります。
大きなリュックや大量の飲食物は持ち込み制限されることもあるので、入口での指示には従いましょう。
博物館周辺のおすすめランチスポット3選
長時間の見学が終わるころには、きっとお腹もペコペコになっているはず。
私も歩き回った後はもうフラフラで、どこかで座って食べたい…という気持ちでいっぱいでした。
そんなときに立ち寄って「ここにして正解だった!」と思った、博物館周辺のランチスポットを3つご紹介します。
どれも徒歩で行ける距離なので、ぜひチェックしてみてください。
① The Sixth(ザ・シックス)
ワット・ポーの近くにある、こじんまりしたカフェレストランです。
地元の素材を使った創作タイ料理が食べられて、私が頼んだ「トムヤム・スパゲティ」はピリ辛でクセになる味!
おしゃれだけど気取らない雰囲気で、スタッフさんも英語が話せるので安心です。
- 予算:150〜250バーツ
- 雰囲気:アットホームで居心地よし
- 営業時間:10:30〜17:00(火曜定休)
② Krua Apsorn(クルア・アプソーン)
こちらは地元の人たちにも愛される老舗のタイ料理屋さん。
お昼時には並ぶこともありますが、それだけの価値があります。
とくに「蟹入り卵焼き(カイジャオ・プー)」はふわふわで濃厚な味。
私はグリーンカレーと一緒に注文して、大満足でした。
- 予算:100〜200バーツ
- 雰囲気:庶民的でローカルな感じ
- 営業時間:10:30〜20:00(日曜定休)
③ Elefin Coffee(エレフィン・コーヒー)
歩き疲れてちょっと休みたい…そんなときにぴったりなのが、このカフェ。
広々としていて座席も多く、観光客にも人気です。
私は「マンゴースムージー」を頼んだんですが、暑さが一気に吹き飛ぶほど美味しかったです。
軽食やケーキ、コーヒー類も充実していて、休憩がてら軽く食べるのに最適です。
- 予算:100〜200バーツ
- 雰囲気:カジュアルで入りやすい
- 営業時間:8:00〜18:00(無休)
まとめ:バンコク国立博物館は一見の価値あり!
タイに来たらぜひ訪れてほしい場所のひとつが、このバンコク国立博物館です。
タイの深い歴史や文化に触れることができるだけでなく、街の喧騒を忘れて静かに過ごせる癒しの場所でもあります。
私も何度も足を運んでいますが、行くたびに新しい発見があります。
バンコク観光の合間に、ぜひ立ち寄ってみてください。
特に「BTS+ボート」のルートは、移動そのものが旅の楽しみになるおすすめの体験です。
それでは、よい旅を!